<山名表記「ヶ」と「ガ」>

山名表記の違いについて

登山を始めた当初から山名の表記について疑問を持っていた。ガイド本や個人の山行日記によって「ヶ」と「ガ」が混在している(例えば八ヶ岳と八ガ岳のように)。なぜ?
地名や山名は愛称はあるものの、固有名詞なので「ヶ」と「ガ」くらいは統一されていて良いと思う。最近手持ちのガイド本もだいぶん増えたので、一通り調べてみることにした。どのガイド本、どの出版社で「ガ」を用いているのか?文字混在の理由が分かるかもしれない。ちなみに小生は「ヶ」の方が好きである。文字配列の座りが良い気がする。

手持ちの山関連本を利用して、「ヶ」を用いているもの、「ガ」を用いているものという観点から以下にまとめた。図書名と出版社名のみ載せる。

〜 「ヶ」を用いているもの 〜
・『1/25000地形図』、『1/50000地形図』(国土地理院)
・『1/200000地勢図』(国土地理院)
・『ぎふ百山』、『続ぎふ百山』(岐阜新聞社)
・『日本百名山』(新潮文庫)
・『こんなに楽しい岐阜の山旅100コース(上・下)』(風媒社)
・『こんなに楽しい愛知の130山』(風媒社)
・『美濃の山(1・2・3)』(ナカニシヤ)
・『関西の山あるき100選』、『関東の山あるき100選』(昭文社)
・『山と高原地図(エアリア)シリーズ』(昭文社)
・『日本山名総覧』(白山書房)
・『改訂版 山DAS』(白山書房)

〜 「ガ」を用いているもの 〜
・『AG22 鈴鹿・美濃』(山と渓谷社)
・『名古屋周辺の山200』(山と渓谷社)
・『分県ガイド 岐阜県の山』(山と渓谷社)
・『花の百名山(下)』(山と渓谷社)
・『ヤマケイ登山地図帳』(山と渓谷社)
・『花の山旅13 鈴鹿・伊吹山』(山と渓谷社)

上記の通り、山名表記で一般的には「ヶ」を用いるようである。小生の調べた範囲では「ガ」を用いているのは山と渓谷社だけだった。月刊誌『山と渓谷』ではどうかと調べてみたが、雑誌の中身は書く人がバラバラなせいか、「ヶ」の表記もあった。しかし表紙ではやはり「ガ」を使用している。山と渓谷社は「ガ」にこだわる理由が何かあるのだろうか?
山と渓谷社のHP(こちら)に書いてあったメールアドレスに質問のメールを送ってみたところ、19日後に返事がきた。以下に転載する。

「お問い合わせをいただきました山名の「ヶ」と「ガ」についてですが、かつて出版業界で「ヶ」を「ガ」に統一されたことがありました。間もなく元にもどりましたが、弊社では慣行されたままになり、現在にいたっております。最近では、パソコンでの対応や山での指導標などの実情を考え「ヶ」に移行する考えでおります。このような状況で弊社ではいまだ「ヶ」と「ガ」が混在しており、混乱を招いてしまいまして、もうしわけございません。今後も、小社の出版物に関しましてお気づきの点などございましたら、お知らせ下さい。ご意見、ご感想もお待ち申し上げております。宜しくお願いもうしあげます。」

いや〜、昔は「ガ」に統一されていたなんて全然知らなかったな。お忙しい中、返事をくださった山と渓谷社に感謝。しかし「かつて」って何年ころだろう?また疑問ができてしまった。1975年発行の『ぎふ百山』でも「ガ」じゃないぞ……。これ以上質問するのも悪い気がするし、地元の図書館をあさってみるか。



WEB上ではどの表記が多いかも調べてみた。調べるための手軽な方法としてはインターネットを利用して検索にかけることである。全国的に有名な「槍ヶ岳」と「八ヶ岳」について検索をかけてみる。検索エンジンは最も信頼性の高い「Google」を使った。もしやと思いひらがなの「が」でも調べてみたらヒットした。なんとカタカナの「ケ」でもヒットした。これじゃ、「やりけだけ」とか「やつけだけ」?カタカナの「ケ」でも「が」と読むのかな。うーん。

結果を以下の表にまとめる。

山名 「ヶ」ヒット数 「ガ」ヒット数 「が」ヒット数 「ケ」ヒット数
やりがたけ 24500 (77.8%) 2280 (7.2%) 871 (2.8%) 3850 (12.2%)
やつがたけ 150000 (91.0%) 1470 (0.9%) 521 (0.3%) 12900 (7.8%)

ほとんどのページが「ヶ」を使っていることが分かる。書籍での頻度が非常に少ない、ひらがな「が」やカタカナ「ケ」を使っているページもあった。カタカナの「ケ」を使っている人は「ヶ」を見間違えて書いているのかもしれない(大文字と小文字の違いなのであまり関係ないかもしれないが)。また同じページ内でも「ヶ」と「ガ」を併用しているページが見られた(書籍でも混在しているもの多数あり)。「ガ」の利用率は山と渓谷社のガイド本しか見ない人の割合と考えてもよいかもしれない。なかなか面白い!



最後に山と渓谷社の書籍には紹介されていないと思われる山についても調べてみた。検索エンジン「Google」を使用して岐阜県内の山「松ヶ洞山」と「桧ヶ尾山」をヒットさせる。結果は以下の表にあるとおり。

山名 「ヶ」ヒット数 「ガ」ヒット数 「が」ヒット数 「ケ」ヒット数
まつがほらやま 6 (86.0%) 0 (0%) 0 (0%) 1 (14.0%)
ひのきがおやま 8 (66.7%) 0 (0%) 0 (0%) 4 (33.3%)

期待通り両山とも「ガ」のヒット数がゼロになった。「ガ」を使う人=山と渓谷社しか読まない人という図式が成り立つかも。ヒット数が少ないので調べる山がマイナーすぎたか……。WEBページの場合、どの表記にするかは結局最後は作者の好みによりそうだ!?



【まとめ】
・山名の表記方法に疑問を持っていたが、一般的には「ヶ」を使用するようだ。
・かつて出版業界で「ヶ」を「ガ」に統一されたことがあった。
・山と渓谷社が「ガ」を使うのは昔の名残。「ヶ」に移行することを検討しているそうだ。
・個人ではどの表記を使うか、好みによるようだ。

(2003.6.20検討、2003.6.24修正、2003.7.9追記)

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